ミカゲの経済日記

ミカゲの経済ブログです。日本企業の業績推移などをまとめています。

新生銀行(8303)の業績推移

 


 新生銀行は、2000年6月に日本長期信用銀行から名称変更して生まれた銀行で、カードローンサービスブランド「レイク」などで知られています。新生銀行の2011年3月期から2020年3月期までの業績は以下のようになっています。

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  2011年3月期は、東日本大震災の影響による貸倒引当金の計上などを行ったが、各業務部門の経費削減を始めとする収益力安定政策が功を奏し、赤字となっていた2010年度から一転黒字復帰を果たしました。

 

 2012年3月期は、経常利益31.5%減、当期純利益84.9%減と大幅な減少となったが、これは優先出資証券や劣後債の消却益などの非経常的な利益を多額に計上した前年度との比較のためによるもので、会社にとっては想定範囲内の数字だった模様。

 

 2013年3月期は、顧客基盤の拡充や与信管理強化といった収益力の安定、向上化に向けた努力により、経常利益は225.3%、当期純利益は694.3%と大幅な増加。

 

   2014年3月期は、法人部門、個人部門の住宅ローンや投資商品の販売は堅調であったものの、金融商品部門の市場関連取引の収益の伸び悩みや、前年度の様な大口の消却債券取立益が無くなったことを受けて、経常利益、当期純利益共に19.0%の減少。

 

 2015年3月期は、貸倒引当金取崩益や大口の有価証券配当収入の計上、コンシューマーファイナンス業務の堅調な割賦収益などによって、経常利益は65.5%、当期純利益は64.0%と大幅に増加。

 

 2016年3月期は、コンシューマーファイナンス業務が貸出金増加によって収益を伸ばす一方、大幅な市場変動の影響を受けて金融市場部門が減益。その結果経常利益は15.0%、当期純利益は10.2%の減少。

 

 2017年3月期は、ストラクチャードファイナンス(不動産の流動化や証券化などを利用した資金調達の手法)業務などの手数料収益の伸長や、大口の有価証券売却益の計上などがあったものの、資産運用商品の販売苦戦や業務基盤拡充による人件費や物件費といった経費の増加によって、経常利益は23.4%、当期純利益は16.7%の減少。

 

 2018年3月期は、顧客基盤の拡充や収益力強化に向けた取り組みが功を奏し、金融市場業務やレイクを始めとしたコンシューマーファイナンス業務などが好調に推移し、経常利益は19.5%、当期純利益は1.3%の増加。

 

 2019年3月期は、ストラクチャードファイナンス業務やリテールバンキング業務で収益の伸長がみられたものの、前年度計上されていた保有株式売却益がなくなったことや、生産性改革のための新基幹システム稼働による経費が増加したこともあり、経常利益は2.5%と微減、当期純利益は1.8%の微増。

 

 2020年3月期は、ストラクチャードファイナンス業務、リテールバンキング業務の収益は増加したものの、新型コロナウイルスの影響による貸出先の業績悪化に備えた貸倒引当金の積み増しや、子会社買収、グループ拠点再編に関わる経費も増加したことにより、経常利益は7.9%、当期純利益は12.9%の減少。

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   2011、2013、2014、2016~2020の営業キャッシュフローは、資金運用や借入金の増加などによってプラスに、2012年は借用金、預金の減少で、2015年は預金、債券貸借取引受入担保金等の減少によりマイナスに。

 

 2012~2017、2020年の投資キャッシュフローは有価証券の売却、償還による収入が有価証券の取得による支出を上回ってプラスに。2011年は逆に有価証券の取得が売却、償還の収入を上回って、2018、2019年はそれに加えシステム開発や事業譲受による支出が重なりマイナスに。

 

 財務キャッシュフローは、すべての年で劣後特約付借入金の返済、配当金支払、劣後特約付社債の償還、自己株式の取得などによる支出によってマイナスに。

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 配当金は増配も減配もすることなく、1株当たり配当金は1円で推移。(2017年度から株式併合を行っていますが、併合前までの1株を基準としてグラフを作っています。)

 

 配当性向は2012年度が突出して高くなっているものの、それ以外は4、5%辺りで推移。