ミカゲの経済日記

ミカゲの経済ブログです。日本企業の業績推移などをまとめています。

江崎グリコ、明治、カルビーの業績比較 売上高から平均年収まで

 今回は製菓メーカー三社の業績比較です。業績のほかに売上高増加率、営業利益率、1株当たり配当推移、平均給与推移も調べてみました。まずは3社の10期の業績をご覧ください。

 

 

f:id:mikageruge:20210723031327p:plain

f:id:mikageruge:20210723031353p:plain

f:id:mikageruge:20210723031414p:plain

 

 

 

 江崎グリコは2011年3月期から8期連続の増収。2019年からは3月期から12月期に決算月が移行しているので、その影響もあってか一時的に減収減益となっています。営業利益や純利益を見ると、3期減益して4期増益、そしてまた3期減益と、利益に増減の波があるように思われます。

 

 

 明治は売上高は増減がありつつもこの10期は安定して推移しています。一方営業利益は9期連続増益、2012年から2020年にかけて約5倍になっています。売上高に大幅な変化がないことから、明治はこの10期で売上の底上げというより、効率的な企業運営に力を入れてきたと推測できます。

 

 

 カルビーは非常にきれいな7期連続の増収グラフとなっており、その後は売上高、利益共にほぼ横ばいで推移という形になっています。売上高の数字からみても3社の中で最も小さいため、江崎グリコ、明治よりも成長余剰があったのであろうと考えています。

 

 

続いては売上高増加率、営業利益率といった点で比較をしてみたいと思います。

 

 

f:id:mikageruge:20210723081504p:plain

f:id:mikageruge:20210723081524p:plain

 

 売上高増加率に関しては江崎グリコは2014年の急激な増加、決算期の変更に伴う2019,20年の急激な乱高下を除けば、0.06~7.6%辺りで推移。波があるとはいえ、概ね売上高増加率はプラスとなっています。

 

 

 明治は最も緩やかなグラフで、2012、2018、2020年の3期のマイナスを除けば0~5%で推移。2015年から2018年の増加率の増減が江崎グリコとかなり似通っています。カルビーも減少2016年から2018年にかけて2社と同じく下降をたどっています。製菓業界でこの3期の間に売上高の増加率を鈍化させる出来事があったのではないかとも思いましたが、特段大きな出来事は有価証券報告書には記されていませんでした。

 

 カルビーは2013年から2016年の売上高増加率が10%前後で推移しており、2社と比べてかなり高い成長率であったことが分かります。その後は増加率の落ち込みが目立つも2020年に持ち直しています。

 

 

 営業利益率に関しては、カルビーが最も高く、2016、2017をピークに利益率の上昇は陰りを見せていますが、10%を維持しています。明治は2012年から9期連続で営業利益率が向上しており、カルビーとの差を縮めつつあります。一方江崎グリコは2017年までは順調に利益率が向上していたものの、2017年をピークに利益率が低下傾向にあり、2社との差が開きつつあります。

 

 

 最後に配当、給与面での比較です。

f:id:mikageruge:20210725093120p:plain

 

 

 棒グラフが1株当たり配当、折れ線が配当性向(%)を表します。また数字が多くややこしいので、配当性向を表す数字は各グラフの色で枠を塗りつぶしておきました。

 

 

 

 江崎グリコは15円から始まり、連続ではないものの、この10期で1株当たり配当は4倍に、配当性向は2012年の61.7%をピークに低下傾向でしたが、2016年からは年々上昇しています。

 

 

 明治は4期の配当据え置き、2016年の減配などがあるものの、全体としてはこの10期では1株当たり配当は1.87倍に、しかし配当性向に着目すると、2011年は475.3%、2017年から2020年も4期連続で100%を超えています。配当性向が100%を超えるということは、その決算期に稼いだ利益を超過して配当を行っているということなので、あまり良い状況だとは言えません。

 

 

 カルビーはこの10期における配当の増加が著しく、10期で約7倍となっています。配当性向も増加傾向にありますが、40%代とまだまだ配当余力はありそうです。最後は平均給与。

 

(平均年間給与の隣に百万とありますが(万)の間違いです。)

f:id:mikageruge:20210725143354p:plain

 

 

 江崎グリコは増減を繰り返し、2018年の836万をピークに2020年までに約40万円減少。明治は2015年の946万を底に1度減少に転じるも、2020年に9期ぶりの1000万円代の大台に乗りました。カルビーは2017年まで連続で増加していましたが、その後連続で減少しています。