ミカゲの経済日記

ミカゲの経済ブログです。日本企業の業績推移などをまとめています。

JT減配の原因の考察。

日本の高配当株の筆頭であるJT日本たばこ産業)が、2021年度の配当を1株あたり154円から130円の減配とする予定であることを発表しました。投資家たちの間では大きな話題となっていたようです。Twitterのトレンドにもなっていたみたいですしね。

 

年々減少する喫煙者数やたばこ税の増税など、逆境に立たされつつも堅実な経営基盤で評判であったJT。いったいなぜこのタイミングで減配と至ったのか、グラフを基に考えてみたいと思います。まずはJTの業績推移から。(業績の数字は100万円単位から記してあります。)

 

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売上高はこの7年間2兆円を保って居り安定しています。営業利益率も常に20%を超えており、相変わらず経営基盤は盤石といいたいところですが、営業利益は2016年から、当期利益は2015年から減少が続いており、どちらも5、6年で1000億円以上縮小しています。

 

営業利益率20%とという数字は決して悪いわけではありません。むしろ優秀な部類に入ります。しかしいくら営業利益率が20%を超えていても利益が減り続けていることも事実。それに当期利益、別名純利益は配当の原資でもあります。それが6年で1000億円も減少しているのですから、会社としても今後も逆境が続くとみられる以上、今後の株主還元についても検討の必要があるとみたのではないかと思われます。

 

また配当推移と配当性向についても見てみたいと思います。

 

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2014年から2019年の間は純利益の減少とは異なり、2020年に1株あたり配当が据え置かれるまで、年々配当金が増加しています。配当性向も2015年から2021年にかけて上昇しています。2021年予想に至っては96.1%と利益のほとんどを配当に回しているということになり、配当の継続性が危ぶまれるような水準となっています。

 

配当の原資である純利益が減少し続けている中で配当は増やし続けていたわけですから、今回の減配は仕方がないのかもしれません。配当投資家、特にJT株を保有していた方々にとってはショッキングなニュースだったと思います。

 

喫煙者の数や、たばこ税の増税の動向からみても、今後たばこ業界が大幅に利益を上げるといった構図は考えにくいため、今後JTの配当推移が上昇することも、当分は難しいのではないかなというのが私の見解です。

 

JTが引き続き減配を繰り返すのか、または配当を維持するのか、今後の動向を見ていきたいと思います。